英国最大のテックイベントである「London Tech Week (LTW)2025」に、弊社欧州メンバーの中村快大が参加してきました!
最新の技術を求め、あるいは自社技術の展示のため、世界中からグローバル大手企業やスタートアップが集まる本イベント、今年は英国におけるAIの役割と今後の重要性が強調される機会となりました。
これが日本企業にどのような事業機会をもたらすか、中村は以下のような洞察を提供しています。
AIは技術ではなく国家インフラへ
今回のLTWでは、UK首相のKeir Starmer氏とNvidia CEOのJensen Huang氏が、AIを国家インフラとして構築・投資していく意思を明らかにしました。その上で、英国政府はAIインフラに10億ポンドを追加投資を決定、学校教育へのAI導入や750万人労働者への再教育などの教育支援プログラム展開など、特にスキル開発・教育へも注力していく方針も発表しました。
社会実装に向けた視点の徹底
「教育」に加え、「地域雇用」、「環境対応」、「アクセシビリティ」など具体的な社会課題と直結したAI、スタートアップへの支援策も多く見受けられ、政府支援が単なる産業振興以上の役割を果たすための試みが進められています。これを背景に、英国政府は今後、AIを一技術と捉えるのではなく、「目的ベース」での取り組みを加速していくものと予想されます。
目標達成に向けて取り組むべき課題
一方これらの取り組みを実現していく上で、デジタルインフラの整備が必要である点も課題として挙げられました。AI計算能力向上のためハードウェア、エネルギー、規制面で更なる支援を必要とし、特に生成AI普及による社会的影響・責任論に対しては、情報の透明性・監査性・バイアス除去の技術標準の向上に努めていくと言います。
また長年の課題となっている、英国内におけるシリーズB以降の成長資金不足も引き続き指摘されており、資金調達環境の改善が強く望まれています。
日本企業への示唆
英国がAIを国家インフラとして本格的に位置づける今、特に電源、冷却、半導体設計といったAI社会実装を支える周辺技術において、高い技術力を誇る日本企業による市場参入の機会、そしてAIインフラ整備事業に対する技術提案や、現地企業・大学との共同実証に取り組む機会がさらに増していくでしょう。
またリスキリングや教育現場でのAI活用が進む中で、エドテックやHRテックなど新たな分野における道も開かれています。
結論として、日本企業は単なる技術提供者にとどまらず、「社会設計の共創者」としての立ち位置を明確にすることが、今後の英国・欧州市場展開の鍵になるのではないでしょうか。
