『英政府、スタートアップ救済スキームを発表』、『デジタル保険の仏Alanが、5500万ドルを調達』、『デジタル保険の仏Alanが、5500万ドルを調達』、『米Facebookが買収した欧州スタートアップとは 』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第4回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
英政府、スタートアップ救済スキームを発表
英国政府は、新型コロナウイルスによる経済的打撃を受けた中小企業やスタートアップを対象とした15億ドルのファイナンシャルサポートスキームを発表した。その内容は、今回新しく設置される「
Future Fund」を通じて約3億ドルがベンチャーキャピタルに、約9億ドルが
Innovate UKを介した小規模なR&D企業向けの既存ローンや助成金スキームに割り当てられる、などとしている。企業従業員や自営業者への賃金補助にいち早く動いた英国政府だったが、これでその枠に当てはまらない数多くの中小企業が待ち遠しにしているサポートが実施されることになる。しかし、給付条件には既に一定の資金調達に成功している必要があるなど、対象にならないスタートアップ も多くいる点が懸念されている。スキームの更なる詳細はこれから発表される予定で、どのようにこの条件や懸念点をクリアにしていくか、今後もモニターしていく必要がある。
デジタル保険の仏Alanが、5500万ドルを調達
フランスを中心にデジタル保険サービスを展開するインシュアテックスタートアップ のAlanが、シリーズCラウンドで約5500万ドルの調達に成功し、設立からたった4年で調達総額が1.3億ドル以上に達した。
Alanは、特に既存の保険会社とパートナーシップを組むことなく、独自で公式の保険事業のライセンスを取得しており、クリアな価格設定と保証内容を武器に国内で急激にマーケットシェアを拡大し、現在7万人以上が利用する6000万ドル以上の収益を上げる企業に急成長した。また最近では、スウェーデン発の遠隔医療スタートアップ
Kryの子会社となる
Liviとの提携や、新型コロナウイルスに対応するコンテンツにも取り組むなど、健康状態に関わる幅広い分野でのビジネス展開を行なっており、既に設置済みのスペイン、ベルギーオフィスに加えて、今後5年間で欧州全体へ進出していく予定だ。
米Facebookが買収した欧州スタートアップとは
大手テック企業として成功を収めるには、戦略的な買収が重要な鍵を握っている。2004年の設立から、今や一日16億人が利用するとも言われるFacebookも、メッセージアプリに直接関連のあるWhatsAppやInstagramだけでなく、様々な機能向上を可能にする戦略的買収を実行してきた。欧州では、自撮り顔変換アプリのMSQRD aka Masquerade(ベラルーシ)や、WhatsAppでの商取引用コイン開発に使用されるブロックチェーンの
Chainspace(英国)をはじめ、急成長する同社ゲームビジネスに対応するクラウドゲームの
PlayGiga(スペイン)、また主要事業とは離れて開発を進める独自ウェアラブルに統合可能な追跡機能を兼ね合わせるフィットネスアプリのProteGeo(フィンランド)など、幅広い分野の企業に手を伸ばしている。原文内には、買収企業約10社の詳細が記載されている。
丸紅が宇宙事業拡大のため、伊スタートアップと提携
大手商社の丸紅が、以前から提携を進める
インターステラテクノロジズ株式会社(北海道)とともに、超小型人工衛星の軌道投入ロケットに搭載予定の小型衛星放出システムの研究・開発のため、イタリア発スタートアップの
D-Orbit SpAとの業務提携を発表した。D-Orbit は、小型衛星放出システムの軌道輸送を中心とした研究・開発をすすめ、
InOrbit NOW という打上げアレンジ及び軌道投入における最新技術を活用したサービスを提供している。またそれにより、小型衛星を正確に、安定した状態で衛星の軌道に送り出すことができる。丸紅はこの提携により、超小型衛星打上げ事業の強化と宇宙産業の発展に貢献が可能になるとしている。
植木このみ
Open Innovation Group, Intralink Limited
イントラリンクについて
イントラリンクは、海外ベンチャー企業のアジア事業開発、日本大手企業に対する海外オープンイノベーション支援、海外政府機関の経済開発をサポートするグローバルなコンサルティング会社です。
弊社の無料ニュースレター配信をご希望の方は、
こちらから。