『隠れたイノベーターInfobipが、欧州最新のユニコーンに!』、『欧州随一のeスポーツプラットフォームのChallengermodeが資金調達』、『中東欧で注目を集めるスタートアップとは?』、『リアルタイム追跡技術のQuuppaが2400万ドルを調達』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第22回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
隠れたイノベーターInfobipが、欧州最新のユニコーンに!
クロアチア発の
Infobipは、誰もが使用したことのある技術を開発しているものの、広く名の知られていない大企業の1社と言えるかもしれない。SNSのメッセージサービスのプロバイダーとして2006年に設立されてから、FacebookやUberなどを通じて今や世界で50億人が使ったことのあるグローバルクラウドコミュニケーションプラットフォームとも言われている。その単一のプラットフォームからアクセスできる様々なサービスで、クライアントの顧客エンゲージメント向上を可能にするこの技術は、特に顧客とデジタル通信を行う必要性が高まったコロナ危機を通して需要が昨年から30%以上の伸びを見せ、先月ついに欧州で最新のユニコーン企業となった。さらに数年後にはIPOを目指すという。Infobipは、全世界で750社の銀行及び650社の携帯会社を顧客に抱え、50ヵ国以上に拠点を展開するものの、現在も人口3500人程度の小さな町に本社を置き続けている。
欧州随一のeスポーツプラットフォームのChallengermodeが資金調達
業界をリードするスウェーデンのEスポーツプラットフォームの
Challengermodeが、中国アリババグループの投資ファンドであるeWTP Innovation Fundなどから約1200万ドルを調達した。2014年に設立された同社は、エコシステム内全ての利害関係社が活用できるオンラインインフラストラクチャを提供するプラットフォームで、ゲーム統合を通じた複雑なトーナメントインフラストラクチャを自動化する。そして、参加者があらゆるデバイス上で競技、トーナメント、リーグで簡単にプレイすることで、コミュニティの構築と様々な方法で主催者が大規模な収益を上げることを可能にする。また同社は今年、欧州内だけで数百の大会を開催している上、既に世界最大のデジタルフェスティバルの
DreamHack、国際サッカー連盟のFIFA、有名なeスポーツチーム
Fnaticとのパートナーシップも締結しており、最も急速に成長するEスポーツプラットフォームの1つとして地位を確立している。
中東欧で注目を集めるスタートアップとは?
近年、西欧諸国に追いつくべく、中東欧地域のイノベーション・最新技術が盛り上がりを見せている。『Skype effect(スカイプ効果)』と言われるように、Skypeから始まったサクセスストーリーが続くエストニアでは、同社の元メンバーが設立した
TransferWise、自動車配車及びデリバリーサービスの
Boltなど小規模な国から複数のユニコーンを輩出してきた上、世界を代表する電子政府の活躍でも知られている。また同じくバルト三国のリトアニア発の音声翻訳アプリ
Interactioは、欧州委員会をはじめとする多くの国際機関に採用され、複数言語の同時通訳で国際会議における効率性向上に貢献している。またロボットにおける業務自動化でユニコーンとなったルーマニア発
UiPathや、Sony、Google、Oculus by Facebookと組んでVRエンターテイメントを提供するポーランド発
Superbrightも一例として挙げられる。パンデミックにより加速したデジタル化により、勤務地の制限が無くなりつつある中、同地域の優れたエンジニア人材への注目が高まっている。
リアルタイム追跡技術のQuuppaが2400万ドルを調達
COVID-19の影響により、人々の居場所を特定するロケーションベースの技術に対する需要が各産業で高まりつつある中、ヘルシンキ発の
Quuppaは、接触者追跡、ソーシャルディスタンス、プロセスモニタリングなどのアプリケーションを介して正確なリアルタイム追跡を可能にする技術で約2400万ドルを調達した。同社独自のポジショニングアルゴリズムを採用した『Intelligent Locating System』により、高い精度でリアルタイム追跡の方法を調整し、Bluetooth対応デバイスを正確かつ確実に見つけることを可能にする。この技術は製造業、ヘルスケア、スマートビルディング、スポーツ業界など幅広い産業で活用されており、世界中の工場や倉庫での生産及び運用効率の向上にも成功している。Quuppaは既に2000を超えるサービスソリューションを世界170以上のパートナーに展開し、米国、中国、オーストラリア、アラブ首長国連邦にも進出している。プライバシー規制の厳しい欧州で採用される追跡技術は、日本企業にとっても期待できる情報収集方法の一つとなりうる。
植木このみ
Open Innovation Group, Intralink Limited
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