『日欧企業が商業車用スマートミラーシステム開発で提携』、『欧州委主導の大規模クリーンテックプロジェクトが始動』、『自然の力をエネルギーに変えるe-peasが資金調達』、『自然の力をエネルギーに変えるe-peasが資金調達』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第15回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
日欧企業が商業車用スマートミラーシステム開発で提携
リアルタイムグラフィックス及びソフトウェアソリューションのフィンランド発
Basemark が、研究開発型半導体ベンダーの
ディジタルメディアプロフェッショナル(東京)と商業車向けスマートミラーシステム開発で提携を行うと発表した。両者の技術を組み合わせることでスマートミラーの高速かつ高電力効率のリアルタイム操作が可能になり、歩行者や車などの物体を検出・分類し、AR上にヘルプ機能や注意・警告を表示する。これにより、運転席からの死角や視界の制限をなくし、交通事故を防ぐことが出来るとしている。またミラーとなる液晶ディスプレイを車内に配置することで空気抵抗を減らし、燃料やエネルギーの消費削減も期待される。Basemarkは2015年に設立されたばかりだが、ARM、Samsung、Intelなど大手企業に使用されるシステム評価ツールも開発しており、機関投資家からの投資なしで今までに1000万ドル以上の収益を上げてきた。
欧州委主導の大規模クリーンテックプロジェクトが始動
欧州イノベーションファンドは今週、
欧州グリーン・ディールの目標達成を実現するための投資プロジェクトの一環として10億ユーロ(約11億ドル)の投入を発表し、その資金提供に向けた公募を開始した。これはEU排出権取引制度からの収入などを財源として、2030年までの10年間で100億ユーロ(約110億ドル)をかけて実施されるプロジェクトの第一段階で、水素技術などのクリーンエネルギー、鉄鋼・セメント・化学などのエネルギー集約型産業での低炭素技術の活用、エネルギー貯蔵、またCO2回収・有効利用・貯留などの革新的で、すぐに市場で活用できる技術を支援する。この大規模な投資により、欧州域内の将来を見据えた雇用の創出や気候関連技術の開発における欧州の立場を強化し、さらに環境に優しい経済復興を後押しするとしている。
自然の力をエネルギーに変えるe-peasが資金調達
先進的なエネルギーハーベスティングソリューションのベルギー発
e-peasが、
Partechや
Airbus Venturesが主導する最新ラウンドにて約900万ドルの資金を調達した。e-peasは、IoTデバイスの周囲に存在する光や熱・振動をエネルギーに変え、バッテリーフリーでデバイスを操作できる技術を開発している。完全に自律化したエネルギーによって、ワイヤレスデバイスに無限のバッテリー寿命を与えることが出来るため、IoTデバイスが急速に普及する中、使い捨て電池への依存、環境への多大なダメージ、電池交換に準ずるメンテナンス費用など数々の問題を解決できる技術として期待されている。このソリューションは、既に産業、ビルディングオートメーション、農業、ヘルスケアモニタリング、スマートメーターなど幅広い分野で採用されている。
英Medicspot、スーパーでのバーチャル診断サービス開始
ロンドン発デジタルヘルスケアの
Medicspotが、英国大手スーパーの
Asdaと提携し、店舗内で医師の診察を受けることが出来る遠隔医療サービスの提供を開始した。患者は、画面上で医師の指示に従いながら使用する診察機器が設置されたプライベートエリアにて、医師から診断、医療アドバイス、紹介、処方箋発行までエンドツーエンドのヘルスケアサービスを受けることが出来る。一方、医師側は患者が操作する聴診器、血圧モニター、非接触温度計、検査カメラにアクセスすることで、患者の耳、鼻、喉の状態をチェックする。Medicspotは昨年、NHS全体でイノベーションの展開を加速する取り組みである『
DigitalHealth.London Accelerator programme』の参加企業20社のうちの1社として選出され、今までに80以上のNHS関連医療組織と提携してきた経緯がある。
植木このみ
Open Innovation Group, Intralink Limited
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