『アムステルダムが急速に成長する欧州3番目の都市に』、『神経認知AIプラットフォームのBrainWaveBankが資金調達』、『医療機器のテルモが蘭スタートアップを買収』、『英Farewill、ユニークな「終活」サービスで資金調達』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第16回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
アムステルダムが急速に成長する欧州3番目の都市に
この度、アムステルダムが、グローバル・テック・エコシステムにおいて、欧州で3番目に急成長している都市として選出された。今回発表された最新レポートによると、アムステルダムは世界の総合順位でも2015年の19位から昨年は15位、今年は12位にランクアップしており、同都市が成長軌道に乗っていると言える。以前に
弊社ブログでも取り上げた通り、これには複数の重要な要因がある中、特に近年のランクアップに大きく貢献しているのが「Connectedness」である。アムステルダムは、オランダの世界との物流・社会的なつながりが評価され、DHLのGlobal Connectedness Indexで1位を獲得した。その他にも、優れた資金調達ラウンド、高度な知識、優れた人材などの要素も、アムステルダムの活気あるスタートアップエコシステムの向上に貢献している。
神経認知AIプラットフォームのBrainWaveBankが資金調達
アルツハイマー病などの神経変性疾患や、うつ病などの精神疾患を含む中枢神経疾患を家庭で検査、及び遠隔モニタリングするための神経認知プラットフォームを開発するAIスタートアップの
BrainWaveBankが、新たに約140万ドルの資金調達に成功した。2015年に設立された同社の主力製品は、独自のワイヤレス脳波検査(EEG)用ヘッドセットと、モバイル機器上で行うゲーム化された神経認知テストを組み合わせた、ユニークで拡張性の高いデジタル技術プラットフォームである。家庭での使用において特別な指導や監視は必要なく、神経学的および認知的パラメータの繰り返しの測定を可能にし、病気の進行や薬剤の直接的な治療効果に関する情報を提供することで、新しい治療法の開発にかかる時間、リスク、コスト削減に役立つとしている。今回の新たな資本は、同社が技術のさらなる開発、商業活動の拡大、世界の臨床試験市場へのプラットフォームの展開に使用されるという。
医療機器のテルモが蘭スタートアップを買収
テルモ株式会社は、オランダ医療系スタートアップの
クイレム・メディカル社を一時金2,000万ドルで買収した。同社は、外科的に切除が難しい進行期から終末期の肝がんを対象とし、カテーテルを通して肝動脈に運ばれ、放射線でがん細胞を攻撃する放射線放出ビーズを開発・生産している。テルモは、2015年に同社に出資したことで独占販売権を取得していた経緯がある。2017年に欧州で発売されたQuiremSpheresは、その元素の特徴により、従来は実現不可能であったSPECTとMRIによる画像診断を可能にした。このカテーテルがん治療の可視化により、パーソナライズされた個別化医療も期待できるとしている。今回の買収を経て、テルモは生産体制や臨床開発機能などを強化とともに、さらに他臓器のがん治療への応用検証も進めていく予定。
英Farewill、ユニークな「終活」サービスで資金調達
オンラインで遺言を残し、検認サービス(人の財産にかかる死亡関税や税金の整理など)や火葬を注文するためのプラットフォームを提供する英国スタートアップ
Farewillが、約2500万ドルの資金調達を行った。複数の受賞歴を持つ同社のサービスは、火葬の注文などをすべてオンラインで行うことで、費用は平均して典型的な葬儀の5分の1に抑えることができる。オックスフォード大学出身のCEOは、日本の老人ホームで6ヵ月間過ごした経験で、老化と死のプロセスに独自の敬意を持つ日本の文化に触れ、高齢化とサービスに関する概念について考えされられたという。現在米国では既に終活関連スタートアップが多く活動しており、今後世界で1,020億ドルの産業になると予測されている中、特にCOVID-19の影響もあり、このようなユニークなビジネスが急増している。
植木このみ
Open Innovation Group, Intralink Limited
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