『欧州コンシューマーテックにおけるトレンドとは』、『デジタルID認証のOndatoが欧州市場拡大に向け、資金確保』、『パンデミックで救世主となった配達ロボットの活躍』、『医療機器として使用可能な、VRを活用した不安障害の在宅療法』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第10回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
欧州コンシューマーテックにおけるトレンドとは
仏VCの
Idinvestが、1500社への調査をもとに欧州コンシューマーテックのトレンドを発表し、同分野におけるVC投資は、2014年の44億ユーロから2019年の166億ユーロと、その他地域と比べて欧州が一番早いペースで伸びていることがわかった。 特に最も強い分野であるフィンテックは、
Monzoや
Revolutなどのチャレンジャーバンクだけでなく、 融資や株式取引にフォーカスを置くスタートアップなどの活躍もあり、全体の1/4以上のVC投資が欧州に向けられている。またヘルスケアやトラベルテックは、プライバシーへの配慮レベルが高い欧州企業が、米国企業を抑えて域内で激しい競争を繰り広げている一方、
Deliverooや
Takeaway.comを筆頭とするフードセクターや、ライドシェアや電動スクーターの成功企業が多く存在するモビリティも成長を続けている。
デジタルID認証のOndatoが欧州市場拡大に向け、資金確保
遠隔KYC(本人確認義務)及びコンプライアンスソリューションを提供するリトアニア発の
Ondatoが、プレシードで45万ユーロの資金確保に成功した。この技術は、非常に厳重なセキュリティと15以上の異なる要件に対応できるコンプライアンス管理プラットフォームで、各個人・法人の特定や顧客の認証を行うことができるため、現在多くの金融機関やフィンテック企業に採用されている。同社はKYCサービスの提供を開始した昨年に、the German-Lithuanian Business Awardsでthe fintech of the yearを受賞。さらに東欧スケールアップベスト10にも選出されており、今回の資金調達により更なる技術開発とドイツ及びポーランドへの進出を目指す予定。
パンデミックで救世主となった配達ロボットの活躍
英国ではパンデミックにより、人同士の接触を避けるロボットの活用が活発化した。エストニア発
Starshipが開発する自律走行ロボットは、アプリ上で指定された場所まで自動で食料品を配達する。スピーカーも備わっており、必要があれば会話をすることも可能で、到着次第、利用者は携帯を使用してロックを解除し、注文を受け取ることができる。また全世界4000ヵ所に小包と食料品分配用の自動ロッカーシステムを提供する
Cleveronや、
Ocadoのロボットが配達食料品の集配を行う完全自動化された食料品倉庫も活用されてきた。英国では今後6ヵ月で実際に店舗を訪れる人が約40%減少すると予測されており、このようなロボットの活躍がますます期待される。
医療機器として使用可能な、VRを活用した不安障害の在宅療法
バーチャルリアリティを活用した心理療法で不安障害に取り組むハンブルグ発
Sympatientが、160万ユーロのシード資金を調達した。同社の
Invirto と呼ばれる製品は、VR技術と携帯アプリを使用し、社会恐怖症、広場恐怖症、パニック障害などに苦しむ人々に擬似体験療法を提供する。利用者はアプリで内容を管理できるVRと、Sympatientが提供する装置とヘッドフォンを使用するだけで、在宅治療を受けることができる。CEマークの認証を受けており、医療機器として使用可能なこの技術は、独最大健康保険会社の
Techniker Krankenkasseが既に費用をカバーしている。今後は、Invirtoを治療法として処方できる診療所や、費用をカバーする保険会社とのパートナー提携を拡大していくとしている。
植木このみ
オープンイノベーション・グループ、Intralink Limited
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