『 94%のスタートアップがパンデミックに打ち勝つ!』、『アジア企業からの注目が集まる、新型医療画像診断機器』、『英有数大学スピンアウト、世界最小流量センサー生産拡大』、『英有数大学スピンアウト、世界最小流量センサー生産拡大』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第11回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
94%のスタートアップがパンデミックに打ち勝つ!
世界最大規模のスタートアップキャンパス
Station F が発表したデータによると、VC投資を受けているスタートアップのうち、94%がこのパンデミックを乗り切り、ビジネスの継続・展開をしていくと予測されている。この調査は、英独仏を中心とした欧州及びイスラエル、米国の1000社以上を対象に実施された。その結果、10社のうち9社は何らかの形でCovid-19 の影響を受け、マーケティング戦略や方向転換を余儀なくされるものの、多くが政府の金銭的支援を受けながら粘りを見せ、さらに半数以上が新市場への進出を予定している。この調査を通して、スタートアップの勢いが大きく揺るぐことなく、このような危機的環境下でも機敏性を発揮しながら奮闘していることが明らかとなった。
アジア企業からの注目が集まる、新型医療画像診断機器
X線やCTスキャンなど様々な画像診断機器の代替となることが期待される、小規模で低価格な、サービスとしての医療スクリーニング(medical screening as a service)の開発・提供を行うイスラエル発
Nanoxが、韓国通信大手
SK Telecomから2000万ドルを調達した。同社は、画像の撮影と処理をX線プレートではなく、デジタルスキャンに依存する比較的新しい領域であるデジタルラジオグラフィーを活用し、1台2000キロ/100万ドルとも言われるCTスキャンに対して、1台たった70キロ/1万ドルに抑えた機器を提供できるとしている。現在の企業価値が6000万ドルにも上る同社は、既に投資を受けているFujiFilmと同画像技術のライセンス契約を結んでいる上、ドーナツ型をした装置の製造を世界最大EMSの
Foxconnに委託するなど、大手アジア企業とのコラボレーションをベースに更なる展開を図る。
英有数大学スピンアウト、世界最小流量センサー生産拡大
英国
ケンブリッジ大学のスピンアウト、
Flussoが同地の投資家を中心に更なる投資を受け、世界最小の流量センサーの生産拡大を目指している。同社は独自の特許保護技術で流量センサーを大幅に小型化し、さらにコストを抑えながら、拡張機能の追加を実現した。従来、流量計は、ガス、液体の流れをモニターするために、産業、自動車、医療製品で使用されてきたが、小型化が可能にする直接的な流量計測方法により、以前はサイズやコストが問題となり統合が難しいとされていた暖房や換気システム、ろ過ユニット、呼吸系医療機器をはじめとする大量消費者向け製品の広い範囲で活用が可能になる。Flussoは、今回の投資を既に市販されているこの製品と技術の改善及び拡大に充てるとしている。
量子コンピューター業界の注目株、IQM Finland
量子コンピューターのフィンランド発
IQM Finland Oyが、欧州イノベーション会議が主導する
EIC Accelerator プログラムと同国政府機関から2000万ドル規模の資金を調達した。IQMは
アールト大学と
フィンランドVTT技術研究センターのスピンアウトで、現在量子コンピューターのハードウェアとアプリケーションの共同設計を通じて、その技術を商品化するために1週間に1人のエンジニアを追加採用するなど急ピッチで開発を進めている。また商用アプリケーション向けに合理化された超伝導量子プロセッサに注力し、様々なテクノロジーとの統合・機能化した上で量子ソフトウェア会社とのコラボレーションを可能にしている。同社は今春設立したミュンヘンオフィスを通じて、ドイツへの展開も計画中だと言う。
植木このみ
Open Innovation Group, Intralink Limited
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