『Blue Tulip Awards: 新しい通常に対応する革新的技術』、『英SLAMcore、ロボット活用を加速する技術で資金調達』、『住友商事、ポーランドのモビリティ企業Teroplanに出資』、『ディープテック専門VCが、6000万ドルの新ファンド設立』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第12回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
Blue Tulip Awards: 新しい通常に対応する革新的技術
生活、セキュリティ、健康、モビリティなど計8つの分野で新しい通常の形成に貢献する革新的技術を持つスタートアップが、700以上の応募があった
Blue Tulip Awards 2020の勝者として発表された。医療機器を専門に水や化学薬品を一切使用せず、紫外線だけで数分以内に除菌する
UV Smart 、飛行機や都市の騒音をかき消し、住宅内部の静音状態を保つことで生活や労働条件の改善を図る騒音抑制・消音機能を持つ窓を開発する
DeNoize、持続可能な発泡スチロール処理方法で、ポリスチレンと臭素の資源循環ソリューションに取り組む
PolyStyreneLoop、巧妙に生体認証データを組み合わせて、金融機関が顧客の身元確認に使用できる独自のアイデンティティを作成する
TrustStampなど、多くの日本企業にとっても今後活用可能な技術が揃って選出された。
英SLAMcore、ロボット活用を加速する技術で資金調達
ロンドンをベースに活動する
SLAMcoreが、ロボットやドローンの空間AIアルゴリズムの更なる開発のため、英
Octopus Ventures などから500万ドルを新たに調達した。これにより、パンデミックにより需要が急速に拡大したロボットやドローン市場だけでなく、医療、製造、サプライチェーンにおける人手不足やソーシャルディスタンスに関するルールへの対処も可能になるとしている。同社は2016年の設立以降、ロボットの完全なる自律行動を実現するため、ロボットの採用と展開の主要な障害となる空間的理解の欠如解決を可能にするアルゴリズムの開発に取り組んできた。SLAMcoreは今後、大規模なサービスとして手軽な価格で提供でき、農業、倉庫保管、配送など屋内外すべてのアプリケーションで自動運転ロボットを採用するためのベースとなるこの技術の商業化を進めていく予定だ。
住友商事、ポーランドのモビリティ企業Teroplanに出資
住友商事株式会社が、ロンドンの欧州住友商事会社を通じて、ポーランドのモビリティスタートアップ
Teroplanに出資したと発表した。Teroplanは、バスや鉄道チケットのオンライン販売、民間バス事業者向けシステム提供、またオンデマンド型バスサービスを国内で展開する上、同様に移動手段が限られるセルビアやウクライナにも進出している。住友商事はこの投資により、中東欧におけるオンデマンド型バスサービスの展開を目指すという。同社は、先週にもイスラエルの自社CVC「
IN Venture」(2019年設立)を通じ、スマートフォンを活用した位置・行動情報の解析ツールを開発する
Anagogに出資したと発表したばかりで、欧州での投資活動が2件続いた形だ。
ディープテック専門VCが、6000万ドルの新ファンド設立
ディープテックに特化したシード企業を対象に投資を行うベルリン発VCの
Fly Venturesが、新たに約6000万ドルのファンドを設置した。同社は、一般的な技術分野や特定の地域を対象とする従来のVCとは異なり、あるセクターを専門に活動を行う次世代VCの1社として活動してきた。今までに、自律走行の
Wayve、臨床試験の場を提供する
Inato、マネーロンダリングに対抗する
Salvなど様々な有望企業に出資してきた。また文書から収集した情報に基づいた機械の回答を助ける自然言語処理のBloomsbury AI、及びARに使用されるコンピュータービジョンに基づいたポジショニングサービスのScapeは、米テックジャイアントのFacebookに買収された経緯がある。
植木このみ
Open Innovation Group, Intralink Limited
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