『EUとBreakthrough Energyが提携』、『世界初の自動水分補給量追跡システム』、『日欧が6G開発促進に向け、連携を発表』、『peaq :IoT を EoT に変換するブロックチェーン企業』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第62回」をお届けします。
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このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
EUとBreakthrough Energyが提携
今週、欧州委はビル・ゲイツ氏が率いる持続可能エネルギー分野の推進や技術開発への支援組織である
Breakthrough Energyとのパートナーシップを発表した。両者は2022〜2026年の5年間で、ネットゼロ社会構築のため、クリーンテック及び持続可能なエネルギーに関するプロジェクトに総額10億ドルにのぼる投資を行うことを目標としている。その中でも欧州を拠点とするプロジェクトでは、グリーン水素、持続可能な航空燃料、直接空気回収(DAC)、長期エネルギー貯蔵の4分野に優先的に焦点を当てるという。過去にも共同ファンド設置による提携を行なった経緯がある両者だが、資金調達プログラムを運営するBreakthrough Energy Catalystとの提携となる今回は、その資金規模が大きく上回ることになる。最終的には、コスト削減とクリーンテックの加速により、パリ協定に沿った CO2 排出量の大幅削減を実現するという。
世界初の自動水分補給量追跡システム
ヘルスケア、特に高齢者介護において、回避可能な脱水症状による体調・病状悪化を予防するため、英リバプール発
Aquarateは、個人の水分補給量を管理するモニタリングシステムHydracareを開発している。このソリューションは、温冷飲料のどちらにも対応可能な充電式スマートカップを使用し、液体量を自動的に測定することにより、個人の水分摂取量を慎重に追跡、さらに電子カルテ上においてその情報を管理する。Hydracareは、病院や介護施設において正確なリアルタイムデータの提供することで、患者・高齢者の安全性に関する問題や介護者の水分補給頻度・量に関する情報管理の手間を削減するとともに、水の異常な流出検知時のアラート機能による事故防止も可能になるという。
日欧が6G開発促進に向け、連携を発表
次世代通信規格『6G』の開発促進のため、日本とフィンランドにおいて研究開発に取り組む各業界団体が、連携協定を結ぶことになった。これは2030年ごろの6G実用化を見据え、新たな通信規格の開発競争が各国で激しさを増す中、日本で昨年発足した産学官の組織である『ビヨンド5G推進コンソーシアム』、及びフィンランドのオウル大学が中心となる産学組織『6Gフラッグシップ』間の研究段階からの連携と技術力のある人材交流により、標準規格などの主導権争いで先行することを目的としている。日本の『ビヨンド5G推進コンソーシアム』には、東京大学に加え、NTT、NTT Docomo、KDDI、ソフトバンクなど日本の大手通信会社も参加する一方、基地局シェアで世界有数の通信大手ノキアも協力メンバーに加わっているという。今後の6G実用化に向け、技術水準の底上げが期待される。
peaq :IoT を EoT に変換するブロックチェーン企業
ベルリン発のスタートアップ
peaqが、最新ラウンドにて250万ユーロの資金調達に成功した。2017年に設立された同社は、企業が「モノの経済(Economy of Things)」のために最適化された新しい分散型市場システムの採用を可能にするソリューション及びインフラストラクチャを開発している。peaqがIoTのネクストステップと捉えるEoTにおいては、デバイス、機械、車両などがあらゆる価値を自律的かつ安全に、また仲介者なしで収益化し、取引することができるようになる。またpeaq は、Web3.0(ブロックチェーンを活用した分散型の次世代インターネット)における独自のDAGchain テクノロジー活用を目指しており、特にそのe-mobility プラットフォームは、自己主権型アイデンティティを使用して、電気自動車の断片化と走行距離に関する問題を解決することができるという。

植木 このみ
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