『世界有数のテックハブ、英国の現状』『H2 Mobility、水素ネットワーク構築のため資金調達』『ロボット工学の聖地、デンマーク』『女性主導のディープテックスタートアップ』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第103回」をお届けします。
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このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
世界有数のテックハブ、英国の現状
英国のハイテク産業の評価額は、これまで米国と中国のみが達成していた1兆ドルのマイルストーンに到達した。最新のデータによると、英国のテック産業の価値はドイツの2倍以上、フランスの約5倍とされている。過去最高水準のVC投資により英国のテック企業の評価額は上昇し、100億ドル以上の評価を受けた企業であるデカコーンの数は13社となっている。中でもフィンテック部門は、英国のテック産業の展望において重要な役割を果たしており、13のデカコーンのうち8社がフィンテック企業である。この最新の数字は、英国が世界有数のテックハブであることを裏付けている。
H2 Mobility、水素ネットワーク構築のため資金調達
グリーン水素が欧州の中心的な存在となるにつれ、スタートアップ企業はエネルギー分野の重要なステークホルダーから多額の投資を受けるようになっている。その一例がドイツの
H2 Mobilityで、同社は水素充填インフラのために約1億2000万ドルを調達したところである。このラウンドにはHy24が参加し、「世界最大の水素ファンド」と言われるClean H2 Infra Fundを通じて約7800万ドルの資金を提供する予定だ。さらに、現代自動車、OMV、Total and Shellといった著名な既存株主から約4,4000万ドルの資金が提供される。H2 Mobilityは、この新たな資金調達により水素充填インフラを拡張し、大型、小型、中型のアプリケーションにおける水素モビリティソリューションの展開を加速する。
ロボット工学の聖地、デンマーク
欧州の重要なイノベーションハブの一つであり、ロボット工学、オートメーション、ドローン産業のイノベーションの中心地でもあるデンマークでは、ロボティクスエコシステムの企業価値の合計が約12億ドルと急成長している。注目すべきは、デンマークのロボティクスイノベーションのほとんどが
Odense Robotics Clusterで起こっているという事だ。Odense Robotics Clusterでは、160社以上の企業がロボティクス、ドローン、オートメーションの分野で活動しており、スタートアップ企業としては、
3DVerkstan(3D積層造形)、
4X-Robots(デルタピッカーロボット)、
Autonomous Unit(殺菌ロボット)などが挙げられる。デンマークは、ロボット工学の革新と成長を目指す投資家や技術系スタートアップ企業にとって、欧州の重要な場所となっている。
女性主導のディープテックスタートアップ
欧州のディープテック企業は欧州のスタートアップエコシステムの4分の1以上を占めているが、欧州のスタートアップ企業のうち女性が創業または共同創業した企業は15%に過ぎず、依然として女性の比率は低い。この問題に取り組むため、EUは
Women TechEUイニシアチブを立ち上げ、今春から50社の女性主導のディープテックスタートアップを資金、メンタリング、ネットワーキングで支援する。選ばれた企業の中には、以下のようなオランダのスタートアップ企業がある: 炭素および水素用途向けの触媒の開発をする
C2CAT、バイオマーカー「エキソソーム」を分析する
EXIT071 、高度な暗号技術を用いた安全なデータ分析に特化している
Linksight、リン酸塩を豊富に含む廃棄物から、化石資源に代わる製品を製造する
SusPhos。

植木 このみ
Open Innovation Group, Intralink Limited
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