『欧州で高まるディープテックスタートアップへの注目』、『欧州委員会、COVID-19対策新技術に1.3億ドルの追加支援』、『Microsoft、デジタルヘルスのInfermedicaと提携』、『ロンドンだけじゃない、英国テックハブ』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第8回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
欧州で高まるディープテックスタートアップへの注目
革新的な技術や科学的進歩にフォーカスを置くディープテックに取り組む欧州企業に、昨年だけで2015年の投資額のほぼ3倍となる約85億ドルが投下された。ロボット、モビリティ、医療、量子コンピュータなど多岐にわたる分野の中でもAIへの投資が目立つ中、地域別ではフランス、ドイツ、スイスを抑え英国がリードする一方、
UiPathの活躍によりルーマニアも注目のディープテック市場となりつつある。また1.5億ドル以上の資金を用意する
Runa Capitalなど、ディープテックに特化したファンドを設置するVCも増えている。同記事には注目企業として、日本にも進出するAIを活用した自動運転の
AImotive、また量子コンピューターの
IQMや画像認識による視覚検索技術の
LTUが挙げられている。
欧州委員会、COVID-19対策新技術に1.3億ドルの追加支援
欧州委員会が、COVID-19対策のためにEUが主導する資金調達イベント『
コロナウイルス・グローバル・レスポンス』の一環として、関連する調査・研究開発活動に、EUイノベーション助成プログラムの
Horizon 2020から追加で約1.3億ドルを拠出すると発表した。この取り組みは既に実施されてきた診断、治療、ワクチンなどの分野で、すぐに利用できるソリューションの製造・展開に向けた能力強化を目的としており、この資金を受けたプロジェクトは現場で必要となる重要な医療用品や機器の製造に迅速に取り組み、また検査、モニター、患者ケアを改善するための医療技術とAIをはじめとするデジタルツールの開発・活用ができるようになるとしている。
Microsoft、デジタルヘルスのInfermedicaと提携
またも米テックジャイアントが欧州スタートアップに目をつけた。
先週のIntelによるMoovit買収(モビリティ)に続き、今度はMicrosoftが独自のヘルスケアシステムに活用するため、ポーランドのデジタルヘルス企業
Infermedicaと提携すると発表した。2012年に設立されたInfermedicaは、AIと機械学習をベースとした診断及びトリアージ用の遠隔医療技術をAllianzやGlobal Excelなど保険大手企業や医療機関にホワイトラベルソリューションとして提供してきた。Microsoftは、バーチャルアシスタントやチャットボットを使用するために様々な医療機関が採用する
Microsoft Healthcare Botサービスに同社の技術を取り込むことで、COVID-19による官民医療機関の負担を減らすことができるとしている。
ロンドンだけじゃない、英国テックハブ
ロンドンに多くの大企業が拠点を置き、巨額の投資が行われてきたのは事実だが、英国北部にも目を向けてみたい。イングランド北部、スコットランド、北アイルランドには、コンピューターサイエンスに強い学生が多く、北西部やヨークシャーを中心に、Eコマースで成功を収めた
The Hut Groupや
Boohooなど計12社のユニコーンを輩出するなど、活躍するスタートアップが増えている。実際、テクノロジーに携わる労働者が勤務地として選ぶ都市には、上位2都市のロンドンとマンチェスターがそれぞれ18%と15%で選出されており、「英国テックハブ=ロンドン」という発想はもう通じないといえる。今月27日には、2014年から続いている『
The Northern Tech Awards 2020』が開催され、同地域で今後注目すべきテック企業100社が選出される予定だ。
植木このみ
Open Innovation Group, Intralink Limited
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