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イノベーションインサイト:第82回

イノベーションインサイト:第82回

『英Wayve、欧州AI企業最高額となる10億ドル超調達』、『グリーン水素のStargate Hydrogen、4,200万ユーロを調達』、『食品業界を超えた活躍に期待が高まる菌糸体』、『感染症DNA検査を展開するKarius、1億ドル調達』、『Arbol、気候変動リスク保険強化のため6,000万ドルを調達』、『企業導入に特化した生成AI開発Lamini、2,500万ドル調達』、『インドネシアの飲食店向け管理システムのRunchise、100万ドル調達』、『ベトナムPrep、Edtechで700万ドル調達』を取り上げた「イノベーションインサイト:第82回」をお届けします。

英Wayve、欧州AI企業最高額となる10億ドル超調達

英国発自律走行スタートアップのWayveは、ソフトバンクが主導、NVIDIAMicrosoftも参加した最新のシリーズCラウンドで、欧州AI企業へのVC投資として最大規模となる10億5,000万ドルを調達した。2017年設立のWayveが開発するハードウェアにとらわれないAIベースの自律走行モデル、あらゆる車両周囲の状況を認識させ、多様な環境における安全走行を実現する。同AIソリューションはOEMを中心に販売される予定だが、製造業向けにロボット開発を進める企業にも利用される可能性がある。またここ数年、スーパーマーケットチェーンのAsdaやOcado Groupと提携し、自律走行車による食料品配送を試験的に行ってきたが、今回の調達資金は、AI製品の発売とグローバル事業拡大に充てられるという。現在急成長を見せ英国の自律走行技術市場では自動運転ソフトウェアのOxa昨年、Google、あいおいニッセイ同和損保、ENEOSなどから1億1,500万ポンドの出資を受けたばかりである 

 

 

グリーン水素のStargate Hydrogen、4,200万ユーロを調達

エストニアを拠点にグリーン水素を専門とするStargate Hydrogenが、シード資金として4,200万ユーロを調達した。同社は、貴金属の代わりにセラミック材料を使用したアルカリ電解槽用の新触媒により、電解槽の効率向上と資本コストの削減を実現する。Stargateによると、このソリューションにより、グリーン水素の価格を1キロ当たり1ユーロまで低減できるという。さらに、同社はリチウムイオン電池からの学びを取り入れ、独自のスタックとシステム設計を構築しているため、材料から電極、スタック、プラント全体の制御システムまで、システムの全レベルを包括するIPを保有していStargateはすでに、バルト海地域最大の再生可能エネルギー開発企業の一社であるUtilitasをはじめとする顧客向けに設備を稼働させているが、今回の資金調達により、特許取得済みの同電解技術のさらなる規模拡大を目指す。 

 

 

食品業界を超えた活躍に期待が高まる菌糸体

欧州の菌糸体市場は、サステナビリティへの関心の高まりと素材としての多様な用途により、2028年までに11.4億ドルに成長すると予測されている。そんな中、複数の欧州スタートアップが菌糸体を革新的な、時には予想外の方法で活用している。食品業界での使用が最も顕著な分野であるものの、菌糸体はパッケージからファッション、さらには葬儀用品に至るまで、さまざまな産業応用されている。例えば、ドイツを拠点とするInfinite Rootsは今年、5,800万ドルのシリーズB資金を調達し、菌糸体ベースのミートボール、ソーセージ、ステーキ製造に取り組んでいる。また、イタリアのスタートアップSQIMは、菌糸を使ったテキスタイルや内装・建築材料を開発しており、SQIMの菌糸テキスタイルはバレンシアガなどのブランドと共にキャットウォークにも登場した。菌糸体をベースにした棺の製造により、葬儀市場の革新に取り組む蘭Loop Biotechなども活躍する菌糸体スタートアップの一である。菌糸体のスケールアップにはまだ克服すべき課題があるものの、その可能性を見出し始めたVC、スタートアップ、消費者からの関心は高まるばかりだ。 

 

 

感染症DNA検査を展開するKarius、1億ドル調達

感染症診断検査をするKariusは、シリーズCラウンドで新規投資家のSeventure Partnersと、リターンインベスターであるSoftbank Vision Fund 2などの参加を得て1ドルを調達した。Karius微生物DNA検査1回の血液サンプルから1,000類以上の病原体を検出することができる。現在約400の施設と6,000人以上の医師によって採用されており今回の資金調達によって病院以外の細菌寄生虫ウイルスに対するリスクが高いとされる施設への導進めていく。米国では1分間に5人のがん患者が入院しているこれは主要な疾患の診によって見過ごされがちである感染症が主な原因となっている。Kariusは、がん患者の死亡の約60%は、悪性腫瘍そのものではなく、感染症が原因であると推定しており、その数は1日に約1,000人にも上る同社の感染症以外にも開発領域を広げておりAIを活用した細胞DNA液体生検アプローチ研究推進していく予定である 

 

 

Arbol、気候変動リスク保険強化のため6,000万ドルを調達

インシュアテックArbol は、Giant Ventures Opera Tech Venturesの共同シリーズB資金調達ラウンドで6,000万ドルを確保した。同社は、気象害発生時に損害の大きさに応じて契約者保険金を支払うパラメトリック保険提供しており、グローバルレベルの気象データ活用が重要な資産となっている損失トリガーとなるデータは雨量や温度閾値値などであり従来の主観的でを要する手作での損害査定を置き換えることを目指ArbolのプラットフォームにAIアルゴリズムを活用した引受業務機能、プライシングツール、代理店・ブローカー向けツールなどが備わっている同社は、リスクを定量的に評価することでラメトリック保険商品投資可能な資産クラスとして確立普及していくことを目指また、業や再生可能エネルギー分野での成長を加速させるとに、気候関連リスクへの取り組みを強化する銀行などの金融機関との連携を深めていく計画である 

 

 

企業導入に特化した生成AI開発Lamini、2,500万ドル調達

向け生成AI術導入ためのプラットフォームを構築するLaminiは、Figma CEODylan Field、Dropbox CEODrew Houston、OpenAI共同創業者のAndrej Karpathy、LVMH CEOBernard Arnault、AMD Venturesなどから2,500万ドルを調達した。多くの企業は、自社のビジネスニーズに合ったソリューションやインフラに対応できない、用的すぎる生成AIを採用することに不満を表している。対照的に、Laminiは企業を念頭に置いてゼロから構築され、高い生成AIの精度とスケーラビリティを提供することに注力している。Laminiデータの一部を正確に想起するようにデータ上でモデルを訓練する技術である「メモリー・チューニング」で他社と差別化を図るメモリー・チューニングは、AIモデルがリクエストに応じて事実をでっち上げてしまうハルシネーション減らす可能性があるとされ、企業導入においての期待が大きいLaminiの初期クライアントにはAMD、AngelList、NordicTrack、非公開の政府機関などがある 

 

 

インドネシアの飲食店向け管理システムのRunchise、100万ドル調達

ベトナムを拠点とする語学学習・試験対策プラットフォームのPrep金曜日、Cercano Management AsiaNorthstar Venturesが共同主導するシリーズAラウンド700万ドルを調達したと発表した。同社は2020年にTu Pham氏と、友人であり同社CTOを務めるNam Tranによって設立されオンライン語学学習・試験対策のオンラインプラットフォームを提供するPrepのサービスにはパーソナライズされた学習計画、インタラクティブな学習コンテンツ、およびAIを活用したテストやロールプレイングルームが含まれているCEOTu Phamによると、設立からわずか4年で、ユーザーベースは数十万人に拡大し、その数は依然として急速に増加しているという。同氏はまた、AIを利用したバーチャルスピーキングルームやバーチャルライティングルームなど、独自の技術によって迅速なスケールアップに成功しており、わずかなコストで高品質な教育が提供できるようになったと述べている。 

 

 

ベトナムPrep、Edtechで700万ドル調達

ベトナムを拠点とする語学学習・試験対策プラットフォームのPrep金曜日、Cercano Management AsiaNorthstar Venturesが共同主導するシリーズAラウンド700万ドルを調達したと発表した。同社は2020年にTu Pham氏と、友人であり同社CTOを務めるNam Tranによって設立されオンライン語学学習・試験対策のオンラインプラットフォームを提供するPrepのサービスにはパーソナライズされた学習計画、インタラクティブな学習コンテンツ、およびAIを活用したテストやロールプレイングルームが含まれているCEOTu Phamによると、設立からわずか4年で、ユーザーベースは数十万人に拡大し、その数は依然として急速に増加しているという。同氏はまた、AIを利用したバーチャルスピーキングルームやバーチャルライティングルームなど、独自の技術によって迅速なスケールアップに成功しており、わずかなコストで高品質な教育が提供できるようになったと述べている。 

 

 

イントラリンクについて

イントラリンクは、日本大手企業の海外イノベーション・新規事業開発、海外ベンチャー企業のアジア事業開発、海外政府機関の経済開発をサポートするグローバルなコンサルティング会社です。

植木 このみ
About the Author

植木 このみ

オックスフォード本社を拠点に、プロジェクト実行チームの一員として、日本ならびにアジア大手企業を対象としたマーケティング事業をリードしている。2020年より海外エコシステムの最新情報を日本語で提供する「イノベーション・インサイト」を執筆。また欧州におけるイベント企画・運営も担当。

ラフバラー大学にて国際経営学修士号を取得後、ロンドンの日系企業でEMEA在日本企業の経営ビジネス戦略構築をサポートした経験を持つ。

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