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欧州イノベーションインサイト: 第28回

『最新の世界デジタル競争力ランキング2020が発表』、『自動車用ARの英Envisicsが、大手メーカーから資金調達』、『日系VC、CVCが出資の半分を占める欧州企業とは?』、『森林火災探知で自然保護を推進する独Dryad』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第28回」をお届けします。 このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。

最新の世界デジタル競争力ランキング2020が発表

スイスの国際経営開発研究所(IMD)により、今年も世界デジタル競争力ランキングが発表され、首位の米国に続き欧州から6ヵ国がトップ10入りした。同ランキングは、知識、技術、将来への準備度合いの3領域を人材、研修と教育、資金、規制、適応能力、IT統合など9つのサブセクターに分けた上で、52の基準から各国のデジタル活用力を評価し、対象63ヵ国の競争力を数値化している。欧州からは電子政府に関する取り組みやIT統合における強みを評価された3位のデンマークをはじめ、スウェーデン、オランダ、スイスが上位を占めた。一方、アジアからもシンガポールや韓国などがトップ10入りを果たしたものの、日本はビッグデータ活用、デジタル人材のグローバル化、企業の変化迅速性などの基準で最下位となり、総合27位(アジア9位)だった。IMDはこの中で、パンデミックの影響で、今後個人及び企業の変化への柔軟性と迅速な対応力が今まで以上に重要になるとコメントしている。

自動車用ARの英Envisicsが、大手メーカーから資金調達

英国発のEnvisicsは、自動車用の拡張現実(AR)技術でHyundai MobisやGeneral Motors Venturesなどの自動車大手メーカーから5000万ドルを調達した。同社は車内でドライバーのために情報を可視化するヘッドアップディスプレイ(HUD)で使用されるホログラフィック技術を開発している。既に複数の大手メーカーとの協業にも取り組んでおり、Hyundai Mobisは2025年までの量産を目指した自律運転車両の開発に同社の技術を統合すると発表している一方、Jaguar Land Roverもその技術を採用している。EnvisicsでCEOを務めるChristmas氏は、同社を設立する以前も別のスタートアップでホログラフィックディスプレイ用ヘッドセットの開発に取り組んでいたが、自動車企業との直接のコラボレーションに機会を見出し独立した。Envisicsは今回調達した資金により、継続的な技術開発と本格的な商業化を目指すという。

日系VC、CVCが出資の半分を占める欧州企業とは?

ケンブリッジ発の大規模データ統合・解析のGeoSpockが、新たに500万ドルを調達した。今回の投資には、ローカルのCambridge Capital Partnersなど計8社が参加したが、初めて出資したNTTドコモ・ベンチャーズをはじめ、KDDI Open Innovation Fund 、三井不動産の31VENTURES、グローバルVCのグローバル・ブレインなど、そのうち半分を日本企業が占めた。2013年設立ながらも既に日本とシンガポールに進出を果たしているGeoSpockのプラットフォームは、分析速度やコストがネックになり、多くの企業がビッグデータを活用しきれていない中、独自開発のアルゴリズムにより、1兆レコード以上の膨大なデータの秒単位での分析を実現する。現在は特にコネクテッドカーやスマートシティー、IoTなどの分野における活用が進んでいる。

森林火災探知で自然保護を推進する独Dryad

ベルリン発のDryadは、大規模なIoTネットワークを活用して森林の監視、分析、保護を可能にする技術を開発する。180万ユーロのシード資金を調達したばかりの同社は、発生から60分以内という非常に初期段階で森林火災を検知することができる。また森林をデジタル化するというビジョンを掲げ、より効率的かつ収益性の高い方法で森林の状態を管理するためのソリューションを提供する。Dryadのネットワークは、火災時に放出されるガス、温度、湿度などを検出するためにAIを導入した太陽光発電センサー、LoRaWANを拡張した特許出願中のゲートウェイ、さらにあらゆる要因を監視・分析し、管理者に警告するためのクラウドベースのダッシュボードの3つで構成される。12kmのみをカバーする既存のLoRaWANゲートウェイとは異なり、Dryadのゲートウェイはマルチホップメッシュネットワークで相互接続しているため、モバイルネットワークがない場合でも、通信ネットワークを構築できるという。近年、全世界で膨大な火災被害が続く中で救世主となりうるこの技術は、今後まずドイツ国内とアフリカで活用される予定だ。 植木このみ Open Innovation Group, Intralink Limited イントラリンクについて イントラリンクは、海外ベンチャー企業のアジア事業開発、日本大手企業に対する海外オープンイノベーション支援、海外政府機関の経済開発をサポートするグローバルなコンサルティング会社です。 弊社の無料ニュースレター配信をご希望の方は、こちらから。

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