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イノベーションインサイト:第2回

『英国、AI企業への投資が過去最高の36億ドルに』『NTTがサプライチェーン管理にNexxiotを採用』、『ギリシャ、再エネだけで電力需要を100%カバー』、『米バイオテックCellarity、医薬品製造の新アプローチ実現近づくか』、『種子遺伝子編集のInari、1億2400万ドル調達』『Jobyとデルタ航空、新たな空の移動手段を試験的に開始』、『インドネシア、2023年にEV補助金を導入』、『Persol Asia Pacific、シンガポール Workmate を買収』を取り上げた「イノベーションインサイト:第2回」をお届けします。

英国、AI企業への投資が過去最高の36億ドルに

英国に拠点を置くAIスタートアップが、2022年現時点までで、既に過去最高となる36億ドルの投資を受けたことがわかった。これは英国全体へのVC投資の14%を占める数字だ。Tech NationとDealroomが発表したレポートによると、AIスタートアップへの投資は年末に向かって急増する傾向があり、このままいけば、昨年の投資総額である75億ドルを超えると予想されている。またTech Nationは、Applied AI 4.0 growth programmeに参加する35社を選出したばかりだ。今年は参加企業の半数以上がロンドン以外の都市から選ばれており、多くの革新的な企業がロンドンなどの確立されたテックハブ圏外から輩出されている今、地域の多様性が増していると言えるだろう。

NTTがサプライチェーン管理にNexxiotを採用

IoTセンサーを開発するスイス発Nexxiotが、NTTデータがサプライチェーン保険管理を強化するために開発した「Connected Product」ポートフォリオのIoTソリューションプロバイダに選出された。このコラボレーション以前には、NTT データがNexxiot製カーゴモニターを500 台ほど活用し、欧州、アジア、米国で配送された 400 件の貨物を追跡することで、500 万km以上にわたる貨物輸送を監視した大規模なパイロットプログラムも実施されている。このデバイスは、温度、露点、衝撃、湿度、居住地など製品環境に関するリアルタイム情報を測定して提供するため、貨物の品質と安全性の向上につながるという。NTTデータは、今後5年間で60万台以上のNexxiot製カーゴモニターデバイスを導入する予定で、これはConnected Productソリューションの輸送コンテナーを監視ならびに追跡する上で不可欠な役割を果たすと期待されている。

ギリシャ、再エネだけで電力需要の100%カバーに成功

先週、ギリシャで再生エネルギーの電力発電・供給量が初めて電力需要を満たし、再エネ中心の電力提供が現実に向かっていることを証明した。少なくとも5時間程度、再エネがギリシャ国内での発電量の100%を占め、その数値は過去最高の 3,106 メガワット時に達したという。これはギリシャにとって重要なマイルストーンであるが、現在、太陽光、風力、水力が国の電力構成の 46% を占める中、同国はこれを2030 年までに70% に引き上げる形でグリーンエネルギー容量を拡大するというさらに野心的な目標を掲げている。ギリシャ政府は現在、電力網をアップグレードし、この目標を実現するため、欧州内のファンド及び民間投資で約300億ユーロを集めようとしているという。

米バイオテックCellarity、医薬品製造の新アプローチ実現近づくか

薬の製造方法を再設計するという新しいアプローチで、マサチューセッツ発CellarityがシリーズCラウンドで、1億2100万ドルを調達した。投資家には、Flagship Pioneering(Cellarityの創業者)、協和キリンHanwha Impact Partnersが含まれる。ほとんどの創薬は薬が体内に入ってから付着する新型ターゲットを見つけることから始まるが、Cellarityは、細胞の環境が健康な状態から病気に変わる際、細胞がどのように変化するかを観察し、どの化合物が細胞を病気から健康に戻すことができるかを予測する。細胞全体の状態変化を見るために、Cellarityは機械学習アルゴリズムを開発し、主にトランスクリプトミクス(細胞内で生成されるすべてのRNA転写物に関するデータ)を使用する。今回の資金調達で、Cellarityはプロテオミクス(細胞内で発現するすべてのタンパク質)などもプラットフォームに追加することを検討中だ。

種子遺伝子編集のInari、1億2400万ドル調達

マサチューセッツ拠点の種子遺伝子編集スタートアップInariが、1億2400万ドルを調達した。同社は気候変動への取り組みとして、種子そのものを持続可能な解決策として活用する。AIを活用した予測設計と多重遺伝子編集を組み合わせ、種子の可能性を最大限に引き出すという独自のアプローチをとっている。InariのSEEDesignプラットフォームは、遺伝子編集ツールを用いて種子の多様性を高めることで、作物に必要な水や化学物質の投入量を減らしながら、食料生産量を増やすことができるという。今回のシリーズEラウンドには、新たな投資家であるカナダ年金制度投資委員会(CPPIB)や創業者のFlagship Pioneeringなどが参加し、調達総額は4億7500万ドルに達した。今回の投資で、遺伝子組換え種子技術における地位を向上させ、製品開発を拡大、最終的には商業種子市場において新たな価値を提供することが期待される。

Jobyとデルタ航空、新たな空の移動手段を試験的に開始

電動垂直離着陸機 (eVTOL)スタートアップJoby Aviationは、デルタ航空と提携し、ニューヨークとロサンゼルスを皮切りにデルタ航空の顧客に「近隣から空港まで」の輸送サービスを提供する。地元の垂直離着陸用飛行場ネットワークを利用して顧客を空港まで迅速かつ環境に優しい方法で輸送する。正式なサービス開始時期は未定だが、デルタは6000万ドルの先行投資を行い、さらに特定のマイルストーン達成で2億ドルを投入予定。この提携により、JobyはeVTOLサービスを、デルタはJobyが商業サービスを開始するために必要な空港インフラを提供する。商業サービスへ向けてJobyは、5月に連邦航空局 からエアタクシー事業を開始できる認定を受けた。デルタ側はプレミアムサービスとして、アプリやウェブサイトから空港へ向かう5人乗りJoby機の座席を予約できるオプションを用意する。

インドネシア、2023年にEV補助金を導入

インドネシア政府は、2025年までに電気自動車利用者を250万人に増やすことを目標に、EV補助金を導入する計画を発表した。「大気汚染国ランキング」で17位の同国は、ドライバーにICEからEVへの移行を促すことで、大気汚染を軽減する考えだ。また同政府は、再生可能エネルギーによる運営を目指すボルネオ島の新首都に、国際的なEV自動車メーカーを誘致し、EVエコシステムを構築する計画を立てている。インドネシアには2022年10月現在、約28,188台のEVが普及しているが、その大半は電動二輪車なのが現状だ。

Persol Asia Pacific、シンガポール Workmate を買収

パーソルホールディングス株式会社傘下の戦略的事業部門であるPersol Asia Pacificは先日、シンガポールのオンデマンド人材派遣プラットフォームであるWorkmateを買収した。Workmateはタイとインドネシアで事業を展開しており、今月からシンガポールにも進出する。Workmateのソリューションには仕事の経験、ロケーション、スキルなどのデータポイントを考慮した独自のAIスコアリングアルゴリズムが使用され、それを出席率や上司の評価など、Workmateプラットフォーム上に記録された行動データや労働者の履歴と組み合わせることで、マッチングの質や従業員の定着率、さらに生産性の向上を目指している。同社は2016年の設立以来、物流、倉庫、F&B、小売、バックオフィスなどの分野における人材に特化し、現在12万名の労働者、800社の企業が登録しているという。なお、Persolは以前にもシンガポール発のキャリア開発プラットフォームのGlintsにも投資している。 植木 このみ Open Innovation Group, Intralink Limited イントラリンクについて イントラリンクは、海外ベンチャー企業のアジア事業開発、日本大手企業に対する海外オープンイノベーション支援、海外政府機関の経済開発をサポートするグローバルなコンサルティング会社です。

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