『英国家電メーカーのDyson、新型人工呼吸器を提供』、『エアタクシーサービスのLilium、$2.4億ドルを調達』、『横河電機、画像分析AIのGrazper Technologiesを買収』、『The Swiss FinTech Awards 2020の結果は、、、 』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第1回目」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
英国家電メーカーのDyson、新型人工呼吸器を提供
掃除機やドライヤーで知られる英国家電メーカーのDysonが、同国首相のボリス・ジョンソン氏から直接の要請を受け、新型コロナウイルスの影響へ対応するため、人工呼吸器の設計・製造に乗り出した。たった10日間でデザインされ、英国の国民保健サービス(NHS)から既に10,000ユニットもの注文を受けたこの新型人工呼吸器「CoVent」は、迅速かつ効率的に大量生産を行うことができるという。同装置は新製品であるため、実際にNHSが採用するには規制当局の承認を得る必要があるものの、順調にプロセスが進めば、4月初旬の使用開始が見込まれている。
エアタクシーサービスのLilium、$2.4億ドルを調達
ミュンヘンを拠点に電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発、及び将来的な商業化を目指すスタートアップLiliumが、同業界で最高となる$2.4億ドルの資金調達に成功したと発表した。これにより、同社の総調達額は$3.4億ドルに達し、企業評価額も$7.5億ドル〜$10億ドルにのぼると想定されている。今回獲得した資金は、引き続きの技術開発だけでなく、2025年のローンチに向け、36個の電気ジェットエンジンを搭載した機体の生産工場の設置費用に充てられる予定だ。独自動車大手Daimlerから出資を受けるVolocopterなど、競合社やその他投資活動が活発になりつつある電動飛行機業界は、交通渋滞緩和に貢献するだけでなく、環境への負担が極めて少ないため、実用化への期待が高いと言える。
横河電機、画像分析AIのGrazper Technologiesを買収
AIを活用した画像解析技術を開発するデンマーク発スタートアップ、Grazper Technologiesが、横河電機株式会社に買収された。2015年にコペンハーゲンに設立された同社は、アルゴリズムと3Dモデリングで理論化された画像認識手法を用いて、限られたコンピューターリソースでも機能するソフトウェアを所有している。横河電機はこの買収により、以前から進めているプラントや、公共インフラに関わるAIソリューションの開発や提供の一環として、カメラを使用したセキュリティモニタリングや、プラントにおける異常検知などに適用されるAI画像解析ソリューションを提供できるようになるとしている。
The Swiss FinTech Awards 2020の結果は、、、
欧州の隠れたフィンテックハブとして知られるスイスにて、「the Swiss FinTech Awards 2020」の勝者が発表された。2015年から続いている同アワードは、毎年70社以上のスタートアップからの応募があり、授与される賞は、スタートアップの規模によって分けられている。本年、市場進出前の段階で活動する企業向けの「Early Stage Start-up of the Year」には、AIを活用して法的書類の分類、理解をサポートするLegartisが、またマーケットでの成功を収め、今後も成長が期待される企業に贈られる「Growth Stage Start-up of the Year」には、より流動性の高い、効率的な現金循環を可能にする預金取引プラットフォームを提供するInstimatch Globalが選出された。またフィンテックアクセラレーター・インキュベーターのF10が、スイスのフィンテックシーンに与えた影響を称えられ、「Fintech Influencer of the Year」を受賞した。 植木このみ Open Innovation Group, Intralink Limited イントラリンクについて イントラリンクは、海外ベンチャー企業のアジア事業開発、日本大手企業に対する海外オープンイノベーション支援、海外政府機関の経済開発をサポートするグローバルなコンサルティング会社です。 弊社の無料ニュースレター配信をご希望の方は、こちらから。