『欧州のアドテク業界が熱い』、『現金使用最後の日が欧州にもやってくる・・・!?』、『ロンドン大学が2回目のファンドを発表』、『安全なコラボレーションアプリ会社Siiloが資金調達』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第19回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
欧州のアドテク業界が熱い
欧州のアドテク業界は、米国のアドテク業界の影に隠れていると思われがちだが、EUのデータ規制とブラウザやテックプラットフォームのプライバシー規制強化の動きが広まっていることを背景に、欧州ではアドテクイノベーションを起こしていると専門家は指摘している。中でも、欧州は
G D P R(E U一般データ保護規則)のおかげで先手を打っており、E U内で個人データを処理するグローバル企業に影響を与えている。分析したデータによると、欧州のアドテク企業は今年1月から6月だけで総額4億300万ドルの資金を調達したことがわかった。「欧州で成功することができれば、米国など他国で成功することが容易になる」と言われている通り、欧州のアドテクには要注目である。
現金使用最後の日が欧州にもやってくる・・・!?
キャッシュレス社会は、100年前から予測されていることの一つである。フランスでは、2012年以降、現金の使用量が12%以上減少しているが、コロナウイルスがこの移行をさらに加速させている。銀行は消費者行動の変化に適応しており、フランスでは昨年に比べて ATM の数が 4%減少している。6月には、Checkout.comが欧州で最も評価の高いフィンテックの一つとなり、先週はロンドンを拠点とする決済スタートアップ企業TransferWiseの評価額が50億ドルへと大幅に上昇した。英国のイングランド銀行でも将来を見据えて、画期的な新通貨を検討している。こうしたキャッシュレス社会の期待が欧州でも高まっているのである。
ロンドン大学が2回目のファンドを発表
英国の
UCL Technology Fund (UCLTF)が1億3000万ドルのテクノロジーファンドを発表した。このテクノロジーファンドは、遺伝子・細胞治療の前臨床・臨床プロジェクトから創薬、人工知能(AI)、先端材料に至るまで、「商機の即戦力となるパイプライン」に焦点を当てている。このようなUCLのファンドは2回目で、最初のファンドでは45件の投資を行った。そのうち27件がスピンアウト企業やライセンスプログラムとなり、現在では13億ドルを超える資金を調達したとされている。イギリスの大学UCLは世界のトップ10大学の中に常にランクインしており、学術的な評価が最も高く、研究の影響力が最も大きいと評価された数少ない大学の一つである。この資金調達は大学のエコシステム内での可能性を浮き彫りにしている。
安全なコラボレーションアプリ会社Siiloが資金調達
医療従事者向けの安全なコラボレーションアプリ会社
Siiloが1100万ドルの資金を調達した。Siiloは、欧州の断片化した医療システムと時代遅れの通信手段であるファックス、ポケットベル、固定電話などの問題に取り組むために2016年に設立した。同社は医療従事者のために特別に設計された、安全で使いやすいメッセージングアプリを開発している。このアプリは現在、25万人以上の医療従事者が利用する欧州最大の医療ネットワークとなっており、毎月2,000万件以上のメッセージがこのサービス上でやり取りされている。
橋本綾華
Open Innovation Group, Intralink Limited
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