『日立、先進的な技術を有する英国の鉄道会社を買収』、『欧州の電池メーカーが「グリーン・リカバリー」で躍進』、『欧州企業のスタートアップ企業の買収が少ない理由』、『蘭Skytools、日系企業からの資金調達でドローンハブ構築』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第20回」をお届けします。
このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
日立、先進的な技術を有する英国の鉄道会社を買収
日本のモビリティ企業の大手
日立レールは、列車の保守・運用をデジタル化する技術を開発している英国のスタートアップ企業
Perpetuum社を買収することで合意した。2004年に
サウサンプトン大学のスピンアウトとして設立された同社は、無線による状態監視を利用して列車の重要な部品(車輪セット、ギアボックス、モーターなど)の故障を検出し、遅延が発生する前にそれらを修正するセンサーを製造している。今回の買収により、日立は保守サービス技術のさらなる強化を図り、デジタルソリューションを活用したサービスをさらに拡大させ、鉄道旅客サービスの信頼性向上に貢献していく。
欧州の電池メーカーが「グリーン・リカバリー」に向けてパワーアップ
欧州の電池メーカーは、コロナウイルスの大流行以降に発表された大規模な「グリーン」刺激策の恩恵を受けようと準備を進めている。企業は機関車やロボットのような、数十億ドルの価値はあるが、異なる技術的アプローチを必要とするニッチ分野に焦点を当てている。欧州は2017年に「
欧州バッテリー同盟(EBA)」を立ち上げて以来、低炭素の未来に繁栄すべき産業を発展させ、欧州が輸入製品や技術に依存しないことを保証するために、地元企業に働きかけてきた。次世代の電池は現在市場に出回っているものよりも長持ちし、充電が速く、安全で環境に優しいものでなければならず、それが欧州企業にとって世界で活躍する最大のチャンスとなっている。
欧州企業のスタートアップ企業の買収が少ない理由
米国では、スタートアップ企業を10億ドルで買収して様子を見ることは珍しくないが、250人以上の従業員を抱える企業が3倍近くあるにもかかわらず、欧州では同じ状況になる可能性の方がはるかに低い。文化的に保守主義であるということと欧州の技術を守りたいという思いが、潜在的な理由と考えられる。しかし、2014年以降、欧州ではオープンイノベーションプログラムが普及し、必ずしもM&Aに結びつかなくても、企業同士のコラボレーションを望む声が高まっていることから、状況は変わりつつある。
蘭Skytools、日系企業からの資金調達で最大のドローンハブ構築
オランダのスタートアップ企業である
Skytoolsは今週、日系企業である
テラ・ドローン株式会社から資金調達を受け、欧州最大のドローンハブを構築するとしている。Skytoolsは、欧州の新しい規則と
欧州航空安全機関(EASA)の規制の中で、BVLOS(目視見通し外)と夜間飛行の導入を加速させ、安全性、効率性、生産性を向上させるためのドローンベースのソリューションの導入で顧客をサポートしている。テラ・ドローン株式会社はSkytoolsとの協業によりドローンの可能性を世界規模で展開し、さらに発展させることで、より良い未来を創造することができると述べている。
橋本綾華
Open Innovation Group, Intralink Limited
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