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イノベーションインサイト:第46回

イノベーションインサイト:第46回

『スウェーデンNorthvolt、欧米事業拡大で12億ドルを調達』、『スペインで注目を集めるバレンシア・エコシステム』、『gr3nとIntecsa 、「世界初」のPETリサイクル施設の建設へ』、『民間宇宙ステーション開発Axiom Space、3.5億ドル調達』、『AI創薬Genesis、臨床試験を視野に2億ドル調達』、『スタートアップの増加をもたらす、米インフレ削減法』、『Beep、東南アジア最大のEVネットワーク立ち上げへ』、『シンガポールZTX、Web3インフラ推進に向け1,300万ドル調達』を取り上げた「イノベーションインサイト:第46回」をお届けします。

スウェーデンNorthvolt、欧米事業拡大で12億ドルを調達

欧州大手バッテリーメーカーのNorthvoltは、欧州と北米でのさらなる事業拡大計画に向けた資金として、12億ドルを調達したと発表した。同社は、CO2排出量を最小限に抑えたリチウムイオンバッテリーを開発する。2016年の設立以来、90億ドル以上の資本・株式を確保し、欧州で最も資金力のあるクライメートテック・スタートアップとして知られている。2022年5月、スウェーデンに初となるバッテリーのギガ工場を開設し、Volkswagen、BMW、Scania、Volvoなどの顧客向けにEV用バッテリーを生産している。またポーランドでも蓄電池を生産しており、今年後半には顧客への納入が開始される予定だ。さらにNorthvoltは今回の資金調達により、新たにドイツと北米に2ヶ所のギガファクトリーを増設する。

スペインで注目を集めるバレンシア・エコシステム

スペインの東海岸に位置するバレンシアは、スタートアップへの投資が国内3番目に多い上、17つの地域の中で人口1人当たりのスタートアップ数が最も多い地域である。DealroomのValencian Innovative Ecosystemプラットフォームによると、1,200社以上のスタートアップ、100社以上の投資家、170社以上の大手企業が拠点を置く同エコシステムはここ数年急速に成長しており、2017年から2022年の間に4億5,900万ユーロ以上が投資されたという。また過去6年間、国際的に認知されているValencia Digital Summitを運営してきたNPOのStartup Valenciaをはじめとする、数多くのイニシアティブによって支えられている。バレンシアのVC投資で注目されるセクターには、昨年に3,250万ユーロを調達したフィンテック、次いで2,450万ユーロのマーケティング、1,540万ユーロのヘルスなどあり、成功テック企業の例としては、輸送技術のZeleros Hyperloop、遺伝子検査サービスのigenomix、小型衛星打ち上げサービスのPLD Spaceなどが挙げられる。

gr3nとIntecsa 、「世界初」のPETリサイクル施設の建設へ

スイスのgr3nは、スペイン最大の建設グループの産業エンジニアリング部門であるIntecsaと共同で、gr3nのケミカルリサイクル技術を用いて4万トンの新品のようなPETを生産可能な、「世界初」のPETリサイクル施設を建設すると発表した。Gr3nは、あらゆる種類のPETとポリエステルプラスチックを2つのコア成分(PTAとMEGモノマー)に分解するマイクロ波解重合技術を開発している。その後、これらのプラスチックを再度組み立てることで、未使用品に近いプラスチックを生成することができる。これにより無限のリサイクル・ループが実現され、ポリエステルのバリューチェーン全体に大きな利益をもたらす。Gr3nとIntecsaが2027年の稼動を目指すPETリサイクル施設は、従来であれば焼却されるか埋め立て処分されていたようなリサイクル困難な産業廃棄物やPET廃棄物を処理する能力を持つ。この工場は、運営期間中に約200万トンのCO2を削減できると期待されている。

民間宇宙ステーション開発Axiom Space、3.5億ドル調達

2022年8月に署名されたインフレ削減法(IRA)は、米国が2030年までに経済全体の温室効果ガス排出量の最大40%を削減すること目指し、クリーンエネルギー・プロジェクトに4,000億ドルの連邦資金が割り当てている。クライメートテック技術関連のスタートアップに対する民間投資も特に勢いづき、この1年で発表された270以上の新たなプロジェクトに対し、民間投資の総額は約1,320億ドルに達した。半分以上はEVとバッテリーに、残りは再生可能エネルギー、大規模蓄電池、炭素回収、クリーン燃料に使われたとされる。IRAからの資本はほぼ既存企業に流れるが、VCのような民間投資は、大きな産業に補助的なサービスを提供するべく、あらゆるステージのスタートアップへ開拓の道を開いている。例えば、ソーラー関連の Ion Solarや Arcadiaはその一例で、2032年まで延長されたソーラー投資税額控除(ITC)の30%優遇措置を活用している。

AI創薬Genesis、臨床試験を視野に2億ドル調達

スタンフォード大学のスピンオフGenesis Therapeuticsは、a16z Bio、Fidelity Management & Research、BlackRock 、NvidiaのVC部門NVenturesなどからシリーズBラウンド資金となる2億ドルを調達した。学習済みデータを元に、新たなデータを生成するジェネレーティブAIと予測的分析で、深刻な症状に苦しむ患者のための画期的な治療法を開発に取り組むGenesisは、独自のディープラーニング技術を誇る。同社のGEMS(Genesis Exploration of Molecular Space)プラットフォームは、低分子の医薬品化合物の設計を支援し、柔軟なタンパク質や滑りやすいタンパク質との結合をモデル化することで、それらが身体とどのように相互作用するかを予測する。さらにこのプラットフォームは、新規分子を製造し、可能性のある毒性を含む効力、選択性、薬物動態などの特性も予測できるそうだ。Genesisは、新たに調達した資金で臨床試験段階に移行する一方、創薬活動を他分野にも拡大する。

スタートアップの増加をもたらす、米インフレ削減法

2022年8月に署名されたインフレ削減法(IRA)は、米国が2030年までに経済全体の温室効果ガス排出量の最大40%を削減することを目指し、クリーンエネルギー・プロジェクトに4,000億ドルの連邦資金が割り当てている。クライメートテック技術関連のスタートアップに対する民間投資も特に勢いづき、この1年で発表された270以上の新たなプロジェクトに対し、民間投資の総額は約1,320億ドルに達した。半分以上はEVとバッテリーに、残りは再生可能エネルギー、大規模蓄電池、炭素回収、クリーン燃料に使われたとされる。IRAからの資本はほぼ既存企業に流れるが、VCのような民間投資は、大きな産業に補助的なサービスを提供するべく、あらゆるステージのスタートアップへ開拓の道を開いている。例えば、ソーラー関連の Ion Solarや Arcadiaはその一例で、2032年まで延長されたソーラー投資税額控除(ITC)の30%優遇措置を活用している。

Beep、東南アジア最大のEVネットワーク立ち上げへ

シンガポール発IoTプラットフォームのBeepは、東南アジア最大のEVローミング(eRoaming)ネットワークの立ち上げを発表した。Hyundai Motor Group Innovation Centre in Singapore (HMGICS)、Tribecar、EVFY、Singapore Electric Vehicles、またQuantum Mobilityがこのネットワークを利用する最初の事業者となる。Beepはまた、GGV CapitalとWing Vasiksiriが主導したシード資金調達ラウンドの成功も発表した。2018年に設立されたBeepのプラットフォームは、異なる事業者が使用する様々な充電システムを接続するユニバーサル・トランスレータとして機能し、余分な統合作業の必要性がない。また2021年にローンチしたVoltality充電アプリを独自展開するのではなく、ホワイトラベルのウェブサイトやAPIを提供することで、自動車メーカー、充電事業者、フリートが、現在のアプリケーションやインターフェースに充電接続機能を組み込むことを可能にするという。

シンガポールZTX、Web3インフラ推進に向け1,300万ドル調達

シンガポールを拠点とするWeb3、およびクリエイタープラットフォームであるZTXは、Jump Cryptoが主導した1,300万ドルのシードラウンドを完了した。本ラウンドには、Collab+Currency、Parataxis、MZ Web3 Fund、Everest Ventures Groupなどの著名投資家も参加した。このZTXへの投資家の信頼は、Web3空間におけるプロジェクトの大きな可能性と、同社のレガシー事業であるWeb2ビジネス、ZEPETOにおいて4億人以上の生涯ユーザーを引き付けたことによる、ZTXチームのユニークな優位性に対する市場の認識の表れであるという。ZEPETOは、アクティブユーザー数で、Roblox、Fortnite、Minecraftに次ぐ世界第4位のメタバース・プラットフォームであり、Gucci、Starbucks、またK-POPガールズグループのBLACKPINKまで、何百ものアクティブな戦略的パートナーシップを誇っている。 植木 このみ Corporate Innovation Services, Intralink Limited イントラリンクについて イントラリンクは、日本大手企業の海外イノベーション・新規事業開発、海外ベンチャー企業のアジア事業開発、海外政府機関の経済開発をサポートするグローバルなコンサルティング会社です。

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