『Tech Nation、英国エコシステムの最新情報を公開』、『欧州委、イノベーション戦略プランを発表 』、『ソーラーEV開発のLightyearが新たな資金調達』、『NTTドコモ、スウェーデン企業へ出資』を取り上げた「欧州イノベーションインサイト:第50回」をお届けします。
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このニュースレターでは、日本企業のグローバル展開、新規事業開拓に役立つ欧州の最新イノベーション、エコシステム、テクノロジー情報を、毎週ピックアップして現地から配信しています。
Tech Nation、英国エコシステムの最新情報を公開
英国政府から出資を受け、国内テック企業の成長プラットフォームとして活躍するTech Nationが、2020年の英国エコシステムのパフォーマンスをまとめた
最新レポートを発表した。以下、注目事項をまとめている。
- 過去最高のVC投資額:150億ドル(欧州トップ&米国、中国に次ぐ世界3位)
- 英国ハブトップ5(投資):ロンドン、オックスフォード、ブリストル、ケンブリッジ、エジンバラ
- 海外資本の増加:2/3にあたる94億ドルが米中を中心とした海外から投入
- 成長セクター:トランスポート、ディープテック、サステイナビリティ、エナジー、(サイバー)セキュリティ
- 安定したレイターステージエコシステム:8社のユニコーンがIPO
- その勢いは2021年も継続:1〜3月は、既に過去最高の四半期投資総額を達成
欧州委、イノベーション戦略プランを発表
今週、欧州委員会は2021〜2027年に計画されているEUの研究開発支援プログラムである『HORIZON EUROPE』の戦略プランを発表した。このプランにより、欧州を代表する研究・イノベーションに携わる取り組みの投資対象に関して、前半4年間の戦略的方向性が明確化された。具体的には、重要なデジタル技術、最新テック・セクター・バリューチェーンの開発による「開かれた戦略的自律性」の推進や、デジタル化による持続可能な循環型の経済の推進など4点が挙げられ、グリーンでデジタル時代に適した欧州を構築していく。また欧州委は先週にも、高度デジタル人材の育成、ビジネス及び公共サービスのデジタル化、持続可能性の高いデジタルインフラ構築などを掲げたデジタル化政策「
Digital Compass」を発表したばかりで、3月以降、イノベーション促進に向けた欧州委員会の新たな方針発表が続いている。
ソーラーEV開発のLightyearが新たな資金調達
非常に高いエネルギー効率を誇る自動車プラットフォームを開発する蘭発
Lightyearが、4800万ドルを調達した。2016年に活動を開始した同社は現在、開発するソーラーEV『LightyearOne』(
video)の充電ニーズとグリッド依存性を最小限に抑えるため、効率的なパワートレイン、ソーラールーフ、最適化された熱管理システムなどをカバーする特許ポートフォリオの商業化に取り組んでいる。Lightyearによると、同社EVの消費電力は現在市場に出回っている他の電気自動車の2〜3分の1に抑えることができる上、米サンフランシスコの平均的なドライバーの年間使用量の最大80%まで、独自のソーラールーフから充電することもできるという。なお、このソーラーEV は2020年末の販売開始が予定されている。
NTTドコモ、スウェーデン企業へ出資
NTTドコモ・ベンチャーズが、製造業向けエッジ処理型データ分析プラットフォームの開発を行うCrosser Technologiesへの出資を明らかにした。2016年にストックホルムに設立された同社のプラットフォームは、工場で使用される様々な機器から収集されるデータをリアルタイムに高速で処理するだけでなく、データ処理から加工・活用までの機能を包括的に提供することで、製造業が目指す生産性向上やコスト削減、オペレーションの最適化などを実現する。今後、日本でもスマートファクトリー導入において同技術の活躍が期待される。なお、NTTドコモ・ベンチャーズは現在までに、弊社が日本市場進出をサポートしてきた感情認識AIの
Realeyes、IoTネットワークの
Sigfox、産業施設向けエネルギー最適化ソリューションの
METRONなど複数の欧州企業に出資を行ってきた経緯がある。

植木 このみ
Open Innovation Group, Intralink Limited
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